浄土宗神奈川教区テレホン法話 第901話
故人は仏の国に
花は美しく咲いた後には、種子を残し枯れていきます。そして、その種からは再び花が咲きます。
人もまた、生まれ、子を残してご浄土に参ります。これが自然の摂理であり、生命は子供へと引き継がれているのです。
故人もまた、あなた方という命を残しました。あなたの命がさらに引き継がれいくのです。
親を亡くされた苦しみは、時間が経てばやがてやわらいていきます。しばらくすれば、あなたのつらい気持ちも薄れるでしょう。
悲しいときは、悲しみを心の奥に押し込めないで、自分の感情に素直になって、涙を流すことが大切だと思います。涙は心の汚れを落としてくれます。涙を流すことで、溜まった感情を吐き出すことができます。
涙を拭くたびに、故人との絆は強くなり、心は優しくなります。その心でもって、すべてのものに優しさで接しましょう。
人の世は、その時々に変化し、移り行くものです。仏教ではこれを諸行無常と言います。この変化に抵抗してはなりません。現実を現実としてあるがままに受け入れることが大切です。そうでないと、いつまでも悲しみが続きます。
故人はこの世の悲しみや苦しみ痛みなど、あらゆる束縛から自由になりました。今は、仏様の近くにいて幸せになっておられます。
私たちの仏教は大乗仏教の一つです。大乗仏教とは、大きな船に多くの生けるものが乗るもの、その大きな船をみんなで漕ぎ、助け合って、目的地に行こうとするものです。
そこでは、一人だけが救われて、他の人達は救われないことはない。みんな同じ船に乗っているからです。みんな同じ浄土にゆき、そこで再び会うことになります。これを仏教では、倶会一処といいます。