浄土宗神奈川教区テレホン法話 第915話

 いよいよ今年も残り僅かとなりました。お元気でしょうか。
 「いくら分け与えても減らない」をテーマにお話をしてきました。今回は、私の聞いたことや読んだ本の紹介をしてこのテーマを考えてみたいと思います。
 もう14年経ちますが小学校のPTA活動をしていたとき講演会で聞いた話です。あるお母さんが兄弟の話になったとき、こう言ったそうです。「私の子どもは、一人で充分です。だって新たに子どもが出来たならこの子に灌いでいた愛情が半分になってしまうから」。私は、頭を抱え込みたい気分でした。半分じゃないよ。二倍だよ。いやもっとだよ。
 最近読んだ本では、『雪とパイナップル』があります。これは、著者の諏訪中央病院名誉院長の鎌田實先生の講演会でサインして戴いた本です。チエルノブイリの原子力発電所で爆発がおきました。1986年4月26日のことです。子どもたちは、それがもとで白血病になった。重症の子どもたちの為に鎌田先生の医療チームがベラルーシという国に入ります。一人の少年のための看護士の行動。零下20度の白い雪の世界に一人捜し歩くパイナップル。それは、食事を摂れない少年のやっと口にした食べたいものの名前だったのです。町の人達にも日本人がパイナップルを探していることが広まり、やっと手に入れることが出来たのです。食べることが出来た少年は、結局亡くなってしまうのですが、母親がどんなにそのことに感謝したことか。集英社で出版されている絵本です。きれいです。そして気持ちが洗われます。他には『博士の愛した数式』『小川未明童話集』新潮文庫などが好きな本です。
 良い連鎖はすてきです。いくら分け与えても減りません。
 さて、私自身で今年を振り返るとたくさんの出来事がありました。お念仏を称えることで反省と感謝をしたいと思います。  皆様が希望をもって新しい年を迎えられますように心からお念仏申します。

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