四月八日のお釈迦様のお誕生についてお話します。このお誕生のことを灌佛会ともいいますが、今では桜の季節にもあたり、花祭りの名で一般化しています。 お釈迦様が誕生されたのは今からおよそ二千五百年も前にさかのぼります。インドの北、ネパール国境の近くのカピラバストウという町があり、ここは釈迦族のゆかりの地でありました。父は王でゴータマ、シッタルダ、母はマーヤとよばれていました。お釈迦様はこの釈迦族の国王の太子として、この世に生をうけました。出生の地は、現在はネパール領になっているルンビニーというところです。ルンビニーは今では広大な公園になっており、太子が、かって産湯につかったという井戸や池もあり、世界中の仏教徒がおとずれる聖地の一つになっております。この辺は気候も温暖で、花が咲きほこり、とても美しい所です。 釈迦族の太子が誕生したとき、世界は光輝き、天から甘露の雨がそそぎ、その誕生を祝ったという伝説がありますが、それにならって誕生佛に甘茶をかけてお祝いをするということが今では、各地のお寺でおこなわれています。太子はやがて成長するにおよんで出家し、悟りを開かれて釈迦牟尼佛(釈迦族出身の聖者)として世間の人々から尊ばれるようになります。 お釈迦様を尊崇する後世になるとお釈迦様の誕生を大乗仏教では菩薩の誕生としてうけとめました。菩薩とは、もともと、悟りを開いて仏陀になる前の姿をいうのです。お釈迦様は修行の結果、悟りを開かれて、その瞬間に仏陀になられたかたです。従ってお釈迦様は菩薩としての修行を完成されて仏陀になられたということになります。お釈迦様はその後、五十年近くにわたっておおくの人々を教え導き人々に救済をさしのべたのです。 お釈迦様は王子として生まれたのですが、それよりも一人の人間として生まれたのです。その小さな命が、やがて仏陀として人々の尊敬を集め、人々の救済にあたったという事実であります。お釈迦様にはたくさんのお弟子さんがおりましたが、弟子達はお釈迦様のような仏陀になることをめざして修行にはげんだ
のです。この点が他の宗教と佛教との大きな違いなのです。
次回は五月一日にお話がかわります。