浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1048話
仏教発祥の地インド。開祖はゴータマ・シッダルタといい、お釈迦様と呼ばれています。
そのお釈迦様が悟りを開かれたブッダガヤから、ご入滅されたクシナガラまで北インドを巡りながら、百万遍を唱える旅をしました。
百万遍とは百万遍念仏の略で、7日間に100万回の念仏を唱えれば往生決定すると、中国浄土教の道綽禅師が唱え、実践したことが始まりとされています。
旅の始めの地は、仏教最大の聖地ブッダガヤでした。中心には大菩提寺があり、入山の際には全員素足とならなければなりません。寺には52メートルほどの大塔があり、これは日本でいう本堂です。この西側に、お釈迦様が35歳のときに悟りを開かれた、石の金剛宝座があり、いまも大きな菩提樹の木が繁っています。ここでの百万遍は、観光で訪れていた多くの国の人々も参加することになり、車座になって皆一緒に大数珠を繰り、念仏を唱えました。
その後私たちは続けて、ラジギールという場所を訪れました。お釈迦様の時代、マガタ国の首都だったところです。天空にそびえ立つ霊鷲山に登ると、お釈迦様が説法をし、そして弟子たちと起居された岩窟があり、まさに西方浄土に日が沈む時刻に、百万遍を唱えることができました。
そして最後には、お釈迦様が入滅された場所、クシナガラの涅槃堂を訪れました。悟りを開き、信者たちにその教えを伝道されて80歳になられたお釈迦様は、頭を北に、そして顔を西に向けられて、頭北面西のお姿で静かに入滅されました。ここでは涅槃堂内の大きな涅槃仏を囲むようにして、百万遍をすることができました。
日本では京都の百万遍として、浄土宗大本山知恩寺が、人々に親しまれています。ここでは十人の僧侶が1080粒の大数珠を繰り回し、念仏を百回唱えて、極楽往生を願うとされています。その百万遍の念仏を仏教発祥の地インドで唱えたことで、遠く日本にまで届けられた浄土への変わることのない想いを、肌で実感することができました。
次回は9月11日にお話が変わります。