浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1104
こんにちは。今日のしあわせを末永く続けることの出来るお経があります。そのお経は
仏遺教経です。このお経には、「知足」ということが説かれています。足るを知るということ、小欲知足ということが説かれています。「人間の欲は深くきりがない。ほどほどのところで満足をしなさい。」ということが説かれています。
京都の北に龍安寺という、石庭で有名なお寺があります。庭には、白砂の海と大きな岩を島と見立てて15の岩が配置されています。15という数は仏教にとって完全な数をあらわしております。十五夜は満月ということで、まどかにして欠けることがない仏そのものをあらわした数であります。しかしその15ある岩、龍安寺の建物のどこから見ても14しか見えません。これも実は「知足」の教えをあらわしたものなのです。
龍安寺の茶室の前には
蹲踞があり、そこには「吾・唯・知・足」の4文字、つまり「われ、ただ足るを知る」と刻まれています。これは、15ある石庭の岩が一度に14しか見えないことを不満に思わず、満足する心を持ちなさい、という戒めなのです。また、水を溜めておくための中央の四角い穴が「吾・唯・知・足」の4つの漢字の「へん」や「つくり」となる「口」として共有されているのがこの蹲踞の見どころであります。
古くから日本には腹八分目ということわざがあります。食べ過ぎるとおなかが痛くなったり、おなかをこわしたり、最後にはメタボになったり、高血圧になったり、良いことは何一つありません。腹八分目というのは食べ物だけでなく、すべてのことにいえるわけで、ほどほどの満足が人間にとって一番良い、永く続くしあわせなのです。
次回は4月1日にお話がかわります。