浄土宗神奈川教区テレホン法話 第1150話

高座組 極楽寺 稗貫 光遠

浄土宗神奈川教区テレホン法話第一一五〇話、お電話頂き有難うございます。今回は、「倶会一処」、亡き人たちと、また必ず会えるということでお話をさせて頂きます。
タレントの島田洋七さんが、ご自身の少年時代の思い出を綴った「佐賀のがばい婆ちゃん」という本には、洋七さんのお婆ちゃんが言い聞かせた数々のエピソードが描かれています。貧困の生活の中でも、決して明るさを失わず誇りをもって、お孫さんを育て上げられたこのお婆ちゃんの言葉には、私たち人間が生きて行くための知恵のようなものが示されております。
実は、私が惹かれた一節に
「さよなら、と言えるだけでも幸せ
またね、と言えたら、もっと幸せ
久しぶり、と言えたら、もっと、もっと幸せ」 というものがありました。
私たちの人間の世界は、限りのある無常の世界ですから、いつか必ず愛する人と悲しいお別れをしなくてはなりません。しかし、それは二度と会えない。最後のお別れではなく、仏の国、永遠の世界で再会する日までの暫らくのお別れなのです。
私たちの法然上人は、「宿縁空しからずば、同一連に坐せん」、南無阿弥陀仏のお念仏によって、必ず仏の世界に生まれ変わり、同じ蓮台に坐ることが出来るのだとお説き下されました。
また、それは死んでからのことではなく、現在ただ今から、同じ阿弥陀様のお慈悲の光明に照らされながら、同じ仏様の護念、お導きを頂き、たとえ住所の隔たりがあろうともお念仏の中に、亡き人たちと共に生きて行くことが出来るのです。
「南無阿弥陀仏と、称えるだけでも幸せ
南無阿弥陀仏と、称えてまた逢えたら、もっと幸せ
南無阿弥陀仏と、称えながら、共に生きて行けたらもっと、もっと幸せ」 


次回は、九月の始めにお話の内容が変わります。またお電話ください。