浄土宗神奈川教区テレホン法話 第671話

 今日、道徳規範の柱がなくなり、心の拠り所も失われつつあるように感じるのは私だけではないと思います。「前には教育勅語があった」とよく耳にします。心にゆとりがなくなり、思いやりや親切心も薄れてきたように感じられます。
 時に奇怪な宗教が出現し人心を惑わせ、一層社会を混乱させます。社会も、人の心も乱れ、道徳もなく、欲求ばかりが先走り、利己的な考えが横行するなど、まさに濁った世の中といえましょう。また、このような時代に生きる私たちは、日々とりつかれたように、ひたすら働き、何を目指すでもなく、ただ目指すのは自分の欲望を満たすことだけ。
 コンピュータ全盛期となり、これが使えない者は取り残され、相手にされず、お荷物となっていく。
 夫婦、親子、友人など親しいはずの人達の間にも不信が走る。
 誠にやりきれない時代です。
 昨今は、み仏さまが最も心配された誠に悪い時代といって差し支えありません。今こそ、日本を支えてきた仏教の精神を、改めてしっかりと見極める必要があるのではないでしょうか。
 こう口で言うのは簡単ですが、生活に追われる毎日の中では、悠長に考えている暇などないということもご尤もな話です。かといってそのまま時を過ごしてしまっては、折角、人として生まれながら苦悩の世界からの脱出もできずに終わってしまうという結果を招いていまします。
 今私たちに出来ることは何か。経済的、時間的に余裕がない。体力もないので修行もできない。お経を理解するほどの知識も智慧もなし。けれど欲は深いので、お金儲けはしたい。喧嘩したり、悪口を言ったり、人を傷つけることもたびたびある。こんな私が救われる道なんて。
 いえ、こんな救われそうもない私だからこそ救って上げましょうと言って下さった仏さまがいらっしゃるとお釈迦さまがご紹介下さったその仏さまこそ阿弥陀という仏さまであり、阿弥陀さまのみ教えが法然上人がお説きになったお念仏の教えなのです。
 幸いにもこのお電話をお聞きになられた方は、阿弥陀さまの有り難いご縁を戴いた方です。どうぞ、このお念仏という他に類を見ない素晴らしい、又、偉大な功徳を備えたみ教えを自ら進んで親しまれるようお勧めを致します。

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