浄土宗神奈川教区テレホン法話 第693話

 10月も下旬となりますと各地から紅葉の便りも聞かれ、お休みにはドライブがてら紅葉狩りにでも出かけたくなるような季節です。私は普段から車に乗る機会が比較的多いので余計に感じるのかも知れませんが、車を運転し始めた20年ぐらい前に比べ道路脇などに捨てられているゴミがたいへん増えているように思えます。特に、長く信号待ちをするような場所の道路脇は、まさに目を覆いたくなる状況です。また、川や海、観光地などに放置されるゴミも大変な問題になっています。
 ところで、みなさんは先月の秋のお彼岸にはお墓参りをされましたでしょうか。お彼岸だけでなくお盆やご命日、年末年始など一年に何回もお墓参りをされることと思います。
 私のお寺の裏山にはお寺の墓地に隣り合わせて共同墓地があり、お彼岸などにはあまり存じ上げない方々も沢山お墓参りに来られます。そして山の中で人目に付かないためか、またお墓に持って来た物だからと忌み嫌うためかいたるところにゴミを捨てて帰ってしまう方がいらっしゃいます。昔はお花は新聞紙に、お供えは半紙などの紙に包んで持って来られたので、たとえ捨てられても程無く土になってしまったかも知れませんが、現代のゴミはそうはいきません。お花をくるんだビニールセロファン、お線香やお供えのビニールパック、ペットボトルにアルミ缶など、何年経ってもそのままの形で土の中からひょっこりと出て来ます。
 お供えはカラスが食い散らすなどの問題もあるので、お家でお仏壇にお供えした時と同じに、お参りが終わったら下げて、またみんなで頂けば良いのです。お墓に持って来た物だからと忌み嫌うのは全くのナンセンスです。ご先祖や亡き方々の供養の為にお供えした物を忌み嫌う理由が何処にあるのでしょうか。それよりも、ご一緒にお墓参りに来られた若い方々や幼い子供たちはどう思うのでしょうか。「子供は親の言うようにはやらないが、親がやったようにはする。」という言葉もあります。お墓参りを通して「南無阿弥陀佛」と一心にお念佛をお称えする姿と共に、物を大切にする心、環境を守る心を伝えて頂きたいと思います。

   前へ  年度メニューへ  次へ