浄土宗神奈川教区テレホン法話 第694話
11月の声を聞くと、文化の日、文化勲章などという言葉を身近に感じます。
「文化」とは辞書には「世の中が開けて生活が便利になること、衣食住をはじめ技術・学問・芸術・道徳など人間が自然に手を加えて作り出した物心両面の成果とあります。ようするに我々の生活が便利になり幸せな心豊かな生活ができるようになることだと思います。
ところで、今の日本の様子を見てください。いろいろな物が発達し、生活が便利になりました。しかしそのため自然は破壊され公害は増え、物を粗末にしている。これで文化国家と言えるでしょうか。
では我々、一人ひとりはどうでしょう、幸せな生活とは物質的に豊になることだと思っていないだろうか。その為に他人と競争して勝つことばかりにあくせくしていないだろうか。他人を蹴落とす、失敗を喜ぶようでは心豊かな人とは言えません。
お経に物質的な財産のある人は絶えず、火事で財産を失わないか、盗まれないか、水害で失わないかと心配で心の安まることがない。とあります。
自分の利益のことばかり考えていれば、いつもビクビク周りを気にしながら生活しなければならなくなり勝ったつもりが逆に負い目を感じる生活になってしまいます。
皆がこのような生活をしていれば文化国家とは言えません。
文化を発展させるのは国民一人ひとりの心にあります。
自分のことについては少欲知足少しの希みで満足する。自分のための欲望は、ほどほどにする。それに対して、他の人の為になることについては大きな追求心をもって取り組んで行くそうすれば互いに他人をのけ者にすることもなくなり、互いを認め合え、協力して行けるようになる。結果として文化の発展に寄与できるのです。