浄土宗神奈川教区テレホン法話 第720話
日本は今、子供の数がどんどん減ってきています。いわゆる少子化と言われますが、みるみるその数字は下がって、今は結婚した女性が生涯に産む子供の数は1.2を切ってしまったといいます。特に東京やその他の大都市になると、その数字はもっと下がっています。
この少子化の原因を識者はいろいろ言っていますが、日本人が戦後よかれと思って行なってきたことの誤りが如実に表れてきたと私は思っています。
一つは家族制度の崩壊だと思います。大家族制では常にお年寄から子供までが同居していて、近所や親戚のつきあいも複合的です。小学生ぐらいになれば必ず、どこかの赤ちゃんにさわったり、抱っこしたりするチャンスに恵まれていました。家庭が生きた勉強の場となっていたのは、昔の方がずっと勝っていました。
二つめは福祉の過剰サービスです。お母さんが子供を産んでから、まだ0歳の頃から保育園に預けてしまう世の中になりました。よほど生活に困っているのでしょうか。いえ、本当に困っているのはほんの一部だけで、大多数は子育てが大変だから預けているのではないでしょうか。子育て放棄を助長しているのであって、本当の子育て支援を行なっているのか国の政策に疑問を投げたいと思います。保育所で育てられた子供たちが大人になって結婚した時、子供を育てたい、子供は可愛いいなと思えるのか、と心配です。
とかく世間は子供を産みやすい環境のことを言いますが、私はもっと単純に気持の問題ではないかと思います。極端に言えば自分自身を好きになれない人は、自分の分身も欲しくならないのではと思うのです。
いずれにしても子供たちの歓声が街にあふれるくらいの平和で明るい日本を作りたいものです。