浄土宗神奈川教区テレホン法話 第799話

 「暑さ寒さも彼岸まで」と申しますように、過ごしやすい季節がやって参りました。衣替え等々、新たな準備は整いましたでしょうか。今回は、人間の「欲」について考えてみたいと思います。
 私たち凡人には「欲」というものがあるとお釈迦様は説かれております。それが過ぎることにより時には、諸悪の根源になる時があります。食欲で肥満や成人病になり、性欲、名誉欲やお金に対する欲で人を傷つけたり、睡眠欲で物事の機会を逃したり、欲の多少はあるものの、様々な欲にとらわれ日々生活を送っている訳です。その「欲」をすべてコントロールしているのは「心」です。元々、私たちには仏となる性質、即ち悟りを得ることができる性質を持っているとお経に説かれています。「一切衆生悉有仏性」とあります。しかしながら、本来持っている清らかな心が沢山の欲に覆われ、その性質を発揮出来ないでいます。それでは、どうすればよいのでしょうか。それは、その欲から逃れることができないのであればまず、欲を少なく抑えていくことが大切です。それをいくつかの言葉に表すと「我慢」や「謙虚」となるのではないでしょうか。我慢することにより、有ることへのありがたさを知り、謙虚に振舞うことによりお互いが円満になります。欲を少なくし、足るを知る「少欲知足」が心を幸せにします。
 仏教では悟りの世界へ向かう道を歩むものを「菩薩」と呼んでいます。その菩薩が実践しなければならない六つの行があります。一つ目は布施。人々に施しをすること。二つ目は持戒、自律的な決心を守ること。三つ目は忍辱、忍耐すること。四つ目は精進、一生懸命努力すること。五つ目は禅定、精神を統一させること。そして六つ目は智慧、真理を見極める力。これらの実践行を六波羅蜜といいます。
 どうぞこの遠く昔に経典に書かれた徳目、六波羅蜜を今まさに実践し、欲を抑え、心豊かな日々をお過ごしください。

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