浄土宗神奈川教区テレホン法話 第800話

 今回は、観音さまについてお話したいと思います。
 観音さまは、浄土宗の本尊、阿弥陀さまの脇侍(わきじ)、いわゆるお付として勢至さまとともにおまつりされています菩薩さまです。
 観音さまは、その功徳から観世音菩薩や観自在菩薩とも呼ばれ、覚者、つまり仏となるために修行をされています。世の音を観じ、助けを求めて、観音さまの名を唱えている衆生の元へ現われ、救済をする。大火災から逃げることができる、嵐の海に漂流しても遭難しない、貧欲にも流されないなどの功徳があります。ふとみると阿弥陀さまと同じ様な功徳を持つ菩薩さまということがわかります。
 観音さまは、たくさんの人々に信仰され、その特性から多種多様な観音さまが生れています。聖観音、十一面観音、千手観音、馬頭観音などが有名です。海難事故防止、犠牲者鎮魂のために海辺に立った観音さまもいらっしゃいます。
 では次に観音さまの性別を考えてみたいと思います。一つには、観音さまは大悲の観音といわれ、そのやさしい眼差し、顔つきから女であるという考えがあり、二つには、インドの古い言葉、サンスクリットで観音をアバローキテーシュバラといい、これが文法上、男性名詞で表現されていることから男性であるという考えがあります。また、女でもなく男でもなく、観音は仏になるための性(さが)をもつ菩薩であるから仏性であるという考え方もあるようです。何れにしましても、観音さまは、苦しみの衆生にとって、女性のような深き慈しみの心をもち、あるときには衆生救済のときの勇猛果敢な姿に男性を感じ、その応現功徳から仏の性を感じさせる、菩薩であることは間違いの無いことでしょう。
 浄土宗では、いつも阿弥陀さまと一緒になにげにおまつりされている尊像ですが、そのひとつ一つを吟味してみれば、今までに増して新たな浄土信仰の心が沸いてくるのではないでしょうか。

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