浄土宗神奈川教区テレホン法話 第845話

 新しい年を迎えて、この一月も刻々と時を刻んでおります。
 恐らく、この一年に向けて平穏無事を祈られたことと思います。
 昨年からの災害続きで、決してこれは他人事ではないと思われた方が多いのではないでしょうか。
 今年に入ってインド洋スマトラ島沖地震・津波でなくなられた方は十五万人以上にも達すると報道されています。
 私どもこの世において、どういう事がどういう形でおこるか予想すらつきません。
 明日も今日と同じような一日が当たり前のようにやってくると思いがちなのですが、災害のたびに、そうではないと確認はします。確認だけはしていますね。
 しかし、多くの方はそこどまりで、すぐ忘れ、また次に何かが起こって再び思い出すのが常です。
 考えてみれば、それが、人間のおろかであるゆえんかもしれません。
 この世は苦しいですよとはっきり明言されているのがお釈迦様です。
 この苦しいという事を、しっかり受けとめなければ、その後にお釈迦様がおっしゃる事も耳に届きません。
 苦しいという真理から目をそむけてはいけないのです。
 苦しい世の中だけれど、その苦しみからどのようにしたらよいのかを説かれているのもお釈迦様です。
 多くの法を説かれている中で有り難いのは、子供でもお年寄りでもできる行いとして、阿弥陀仏の名を称える、お念仏のみ教えをお説き下さいました事です。
 このお釈迦様、阿弥陀様を信じ毎日暮らしていく事が大切です。
 今の世の中、信じる対象がことごとくなくなり、何を信じてよいのかわからない時代です。
 今、自分自身に尋ねてみて、この方だけは身を任せて信じることができるという方がおありですか。
 その方がいるだけで、安心し支えとなる方がいらっしゃいますか。
 お釈迦様、阿弥陀様は、その人の命つきるまで、いや、その後もまかせてよいとおっしゃる。
 その支えによって、何がいつどこで起ころうとも、突然目の前に立ちふさがった壁を乗り切れるよう導いてくれるのです。
 それが、信仰の力であります。
 どうぞ、本年も念仏信仰を深めていただきまして、苦しく、つらい事に出会っても、それを乗り越えるだけの信心をもっていただきますよう念じております。

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