浄土宗神奈川教区テレホン法話 第866話

 皆さま今日は。私は神奈川教区教化団副団長の落合と申します。
 立秋も過ぎ8月も半ばとなりましたがお暑い毎日です。
 さて、今回は「生きることは助け合うこと」と言うお話を致します。幼友達の春子さんは子どもも頃から大変明るく心の優しい女の子でした
 そのやさしさで春子さんは保育園の保母さんになりました。たまに会うと保育の仕事が大変楽しく、また子どもたち一人ひとりが可愛くて本当に毎日が楽しいと話していました。
 春子さんの口癖は「自分の子どもを生まなくても、保育園の子ども達との生活が最高よ!」と言って結婚はしませんでした。保育園の仕事は大変忙しいので、いつも電話で話しをしていました。久しぶりにこちらから電話でご機嫌伺いをすると別人かと思うほど、元気の無い暗い声で「生きていく自信が持てなくて仕事をやめた」と言います。
 直ぐにも飛んで行って何があったかを知りたいと思いましたが、あれほど好きな保育園を辞めるには、余程の事情があるのでしょう。余り根掘り葉掘り聞くことは出来ません。でも春子さんのほうから話を聞いて欲しいと言います。早速翌日春子さんを訪ねました。
 電話の声で判断したより元気な様子なので先ずはほっとしました。何でも心臓に少しトラブルがありペースメーカーを使うようになったとの事。「自分の身体なのに機械の力がないと生きていかれないのは人間として一人前ではない」と春子さんは言います。
 話の糸口を見つけて「一人前の人間てどんな人?」と訊ねると「他人の世話や機械の世話にならない人」と答えます。そこで私は冗談ぽく「春ちゃん昔はとても頭が良かったけどこの頃あまりよくないわね!人間は、皆助け合って生きている事知らないの、ペースメーカーつけても元気に働いている人大勢居るのよ、ペースメーカーが何なのよ!」
 その日は沢山お喋りをしました。沈黙の後「そうよね、そうなのよ、ペースメーカーをつけてから他人に何かして貰うことばかり考えて、半人前と思っていた。役に立つことがあるなら私もやるわ」と春子さんは一人で納得しながら「今日はありがとう」と言いお互いに「これからもよろしく」とペコリと頭を下げました。まさに経文の中にある、共生極楽成仏道つまり共に助け合って極楽に往生しましょうと言う事だと思います。
 今回は「生きることは助け合うこと」と言う話をしました。 
ありがとうございました。                南無阿弥陀佛

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