浄土宗神奈川教区テレホン法話 第871話
お布施について
「お布施」と聞きますとお寺に納めるお金と思い浮かべるかと思いますが、それだけではなく実は深い意味がある事をお話させていただきます。
「布施」は「六波羅蜜の一番目にあたるものです。
「六波羅蜜」とは、仏道を修行する者が、行う修行の一つです。
その行が全部で6種類あります。
まず@布施、A持戒=持戒とは、戒律を守り反省をする事、B忍辱=忍辱とは、苦難に堪え偲ぶ事、C精進=精進とは、努力する事、D禅定=禅定とは心を安定させる事、E智慧=智慧とは、惑わされない正しい智慧を持つ事です。
その中で一番初めにあるのが「布施」です。
なぜかと申しますと、欲を捨て、人に物を与えると言う事は大変難しいからです。
最近日本列島各地で大きな地震が続いております。阪神淡路大震災の教訓で、物資を被災地に送って下さる方が増えてきたそうです。
大変良い事で被災地の方が喜んで感謝されているそうです。
しかし一方、着る事が、出来ない程古い、まるでゴミを出す様な衣類が届きボランティアの方々が、その後の処理が大変だと嘆いているニュースを観た事がありました。
これは明らかに「お布施」からかけ離れたものです。
自分に出来る限りのものを与える事で布施する人、布施を受ける人、布施その物が、清浄つまりきれいでなければならないのです。
この事は三輪清浄と呼ばれもので三つの布施がきれいな輪を描く事によりはじめて「布施」が成り立つ事になります。何かをして人の為に行うことは思ったより難しいです。
しかしその人の立場になって考ええると何をすれば良いか自ずとわかってくると思います。
それこそ本当のお布施なのではないでしょうか。布施行が出来る今の自分を阿弥陀様に感謝しこれからもお念仏生活を続けられる事を願い今回のお話をこれで終わらせていただきます。